エモーショナルの向こう側

思いの丈をぶつけに来ます

夜が終わる方へ~真夜中ブランケット解散に寄せて~

 


12/1(日) @三軒茶屋HEAVEN'S DOOR
真夜中ブランケット LAST ONE MAN

のライブレポ的なものを書こうとしたけど、案の定さっぱりまとまらなかったので、「私と真夜中ブランケット」についてつらつらと書こうと思う。

 

 

 

思えば、真夜中ブランケットに出会ったのは本当に真夜中だった。


私の記憶と記録が正しければ、2013年、冬。


当時は関西に住んでいて、FM802のRADIO∞INFINITYという番組がお気に入りだった。
その番組のリスナーからのタレコミのコーナーで、真夜中ブランケットのI HATE Uが流れたのだ。


RADIO∞INFINITYは木曜深夜に放送されていたのだが、中でもタレコミコーナーはいつも午前2時を回った頃にやっていた。
だから、私はまさに草木も眠る丑三つ時に、真夜中ブランケットに出会ったことになる。



「I HATE U」 真夜中ブランケット - YouTube


真夜中に突然、こんな色気だだ漏れの激ヤバサウンドをイヤホンから流し込まれた私の気持ちがわかるか!?


まず音が最高に気持ちいい。
その中をかき分けて漂うように響く掠れた声。
歪さを真っ直ぐ描いたような歌詞もめちゃめちゃ良い。
もうこんなん……こんなん好きになっちゃうじゃないですか……。

 

ちょうどその年の4月に、マヨブラはアルバムをリリースし、レコ発ツアーで関西にも来てくれたのだが、あいにく私は予定が合わず参戦は叶わなかった。

それが余りにも悔しくて、音源が欲しすぎて、わざわざバンドにメールで問い合わせたりもした。
結局Amazonかなんかで買ったような気がするけど、とにかく「MAN IN THE BOX」を手に入れたときはほんとに嬉しかった。

 


それから月日は流れ、2019年。

私にとってのマヨブラは、「大好きでめちゃめちゃ音源聴いてるけどライブには行ったことないバンド」だった。
理由は簡単で、マヨブラはほとんど東京でしかライブをしていなかったからだ。

 

大学を卒業した私は、地元である岐阜で就職して、ライブを観るなら名古屋に行くことが多かった。

関西や東京に遠征することもあったが、めちゃめちゃ好きなバンドのワンマンか、めちゃめちゃ好きなバンド同士の対バンか、もしくはフェスなどの特別なときくらいだった。


マヨブラのライブはずっと観てみたい気持ちはあったが、あと一歩が踏み出せないまま、今まで来ていた。

 

状況が変わったのが、今年の2月。
マヨブラが名古屋に来てくれたのだ!


初めて観たマヨブラのライブは、そりゃもう最高だった!
めちゃめちゃ色っぽくて、かっこよくて、気持ちよくて、楽しくて、あっという間だった。


私が繰り返し繰り返し聴いていたMAN IN THE BOXのリリースからは5年以上経っていたから、当時の曲はあまりやらなくて、「あの曲もあの曲も聴きたいのに何でリリース直後に行かなかったんだ!」と強く思った。

と同時に、「これからはマヨブラが来てくれるのを待つんじゃなくて、自分から行こう」とも思った。

 

 

しかし、またタイミングが合わないまま、季節は巡り2019年、10月。

真夜中ブランケット、突然の解散発表。


残されたライブは、11/3のレコ発と、12/1のラストワンマンの2本のみ。


解散決まったからライブ行くとか自分ダサいなとか思ったけど、それでも行かないよりは行く方が10000000000000000倍いいよなと思い直して、なんとか遠征の予定を組んだ。


めそめそしてたら、友達に「逆に考えるんだ!解散前に出会えた奇跡!」と励まされたりもした。

 


11/3のレコ発は、対バンのバンドもみんなマヨブラへのリスペクトに溢れてて、めちゃめちゃ良かった。
ていうかそもそも対バンのバンドも全部カッコ良かった。

「マヨブラ、東京でしかライブやらないし、対バン数多いし、しかも全然知らないバンドばっかりだから外したらつらいしな~」とか思ってた自分を殴りたい。

30分でもマヨブラは最高だったし、対バンも最高だったから、もっと早く東京にマヨブラを観に行くべきだった。

 

 


そしていよいよ、12/1がやってくる。

ちなみにボーカルの殿は、ワンマンにあたって、こんなツイートをしていた。



なんかもうここまで来ると寂しいっていうか普通に楽しみになってくる。
だって真夜中ブランケットの長尺が観れるんだよ!?
30分でもめちゃめちゃ楽しかったライブが、2時間近く観れるんだよ!!!!


あ~~~~~~でも楽しみだけど寂しいよ~~~~~~~~~こわいよ~~~~~~~~~


とまあ、こんなテンションで迎えたラストワンマン。


入ってすぐに、ステージ上にセトリが貼ってあるのが見えて、慌てて目をそらす。


定刻を15分ほど過ぎて、いよいよ、終わりの始まりがやってきた。千夜一夜物語の千一夜目。


なんかもう細かいこと覚えてないんだけど、とにかくずっと楽しくて気持ち良かった。
あとやっぱり曲がめちゃめちゃ良い。昔の曲も最新の曲も、どれもめちゃめちゃカッコ良い。
中には初めて聴く曲もあったけど、そんなの関係ないくらい奥底から揺さぶられて、自然と身体が動いてしまう。
もう本当に幸せで、このまま終わらないでほしいな…………みたいなことばっかり考えていた。

 

フロアのエモさとは対象的に、ステージ上のメンバーはあっけらかんとしていた。
というか解散云々よりも長尺やべ~の方が強い感じだった。


なぜかそれしか買えなかったらしく、炭酸水を飲みながら「これ大丈夫なのかな、俺」と笑う殿。

mizukiさんが「長いからみんな休憩してね」と言うと、「ていうか俺らが休憩ほしい」と殿が返す。

コダさんは最初のブロックが終わったあたりで「腕パンパン」と言っていた。

終盤、殿がフロアを煽って「……みんな元気だな、うらやましいわ」と呟く場面もあった。

 


ウルトラカルトQのギターリフやばいな、とか、やっぱりMAN IN THE BOX収録の曲はライブで聴くの初めてでも身体に染み付いてるな、とか、え~~~今のミズキさんの手元やべ~~~~~~とか、そんなことを考えてるうちに、時間はあっという間に過ぎていく。

 


「今日が最後だけど、みんなにプレゼント。新曲やります」と言われたときには度肝を抜かれた。
いやだって、このタイミングで新曲って!
しかも今日初披露でリリース予定もなくて、ほんとのほんとに今日だけのための新曲って!!!!

新曲の「さよなら満月」は、めちゃめちゃ良かった。
今日のために書き下ろされた新曲だから当たり前なのだが、歌詞がドンピシャすぎる。


この新曲の歌詞で、一気に解散を実感してエモくなったのは私だけじゃないと思う。

ていうかそもそも、解散ライブだと思うと全部の曲の歌詞がなんとなく意味深に聞こえる気がする。
先週のTHEキャンプの解散ライブでボーカルのイトウさんも言っていたが、「全部、今日のための曲のように聞こえる」のだ。


「さよなら満月」の細かい歌詞は忘れてしまったから、リリースは難しくても、せめて歌詞だけでも公開してほしい。
なんだが、明かりのない夜の浜辺で寄せては返す波の音を聴きながら月を見上げているような気持ちになる、そんな曲だった。

そういえば私は「海と雨」がめちゃめちゃ好きなのだが、今日はまだやってないなと思い出したりもした。(ちなみに結局やってくれなかったので、それだけが心残りかもしれない。私もイルカに乗って帰りたかった)

 

 

そこから最後のブロックはあっという間だった。

escalateやJAP!JAP!JAP!やSpit Sh!tでめちゃめちゃに踊らされた。

私が初めて出会った真夜中ブランケットの曲、I HATE Uはやっぱり何度聴いても最高で、11/3に続いて「大嫌い」を「大好き」に変えて歌う殿にひゃ~~~~~~となったりした。
来るとわかってても、ひゃ~~~~~~となっちゃうのは、I HATE Uのひねくれた歌詞から放たれる「大好き」があまりにも真っ直ぐだからだと思う。

だからあなたが、だからあなたが、だからあなたがあなたがあなたが~~~~~~~~~~~~みたいな気持ちになってしまう。

 


I HATE Uが終わると、殿が言った。

「次が最後の曲。アンコールはない!」
「同じ重力の中でみんな踊りましょう」


最後の曲は、Dance with Gravityだった。


「最後の合図は君が出す」と歌う殿を見ていたら涙が止まらなくなって困った。
こんな風に泣く予定なんてなかったのに、これが真夜中ブランケットの"最後の合図"だと思うと、なんかもうダメだった。

 

"夜が終わる方へ さぁ舵をとれ"
"大丈夫さ いつも僕ら"
"引き寄せられるメロディ"

 


真夜中ブランケットの長い夜が明ける。


私は真夜中ブランケットの曲の、暗闇で彷徨う魂に寄り添うようなところがとても好きだ。

見上げた夜空に宇宙を感じるようなところがとても好きだ。

湿度や温度があるところがとても好きだ。

素直じゃないけど率直なところもとても好きだ。


真夜中ブランケットの長い夜が明ける。

暗闇に彷徨う魂を、夜明けに導いて。


「明けない夜はない」とはよく言われるけれど、「暮れない昼」もなくて、私のそばにはいつだって夜の暗闇がある。

今、夜は終わりへ向かうけれど、きっとまたこの音に引き寄せられて、それぞれの夜と、それぞれの夜明けに繋がっていくんだと思う。

 

 

 

最後の音が、響いて、消える。

メンバー三人が正面を向いて、


「真夜中ブランケット、」

「「「解散!」」」


と最後はみんなでポーズを取って終わった。

 

こんなに綺麗に、こんなにあっさり、自分たちで幕を引くのも、それはそれで悪くないなと思ったりもした。

 

 

でもやっぱり寂しいし、もっともっとたくさんライブ観たかったし、音源もたくさん欲しいから、10年に一回くらいふらっと集まって同窓会してくれたらいいな。

 


大好き!

 

 



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