中野劇団『会議家族』が面白かったよというだけの話
9月20日(日) 中野劇団
第21回公演 短編集『会議家族』
作・演出:中野守
を観た。
直接大阪へ……は行けなかったので、配信で。
ライブ配信も都合が合わなかったので、アーカイブで観た。
家族にまつわる、ゆるゆる不条理な短編コメディ4本。
めちゃめちゃ笑ってものすごく満たされて、最高の休日の夜だった。何より明日もお休みなのが最高。4連休バンザイ。
以下、レポというか感想というか、個人的な覚書。
ネタバレとか気にせずに書くので、未見の方は是非アーカイブでどうぞ。
アーカイブ視聴チケットはこちら
https://v2.kan-geki.com/live-streaming/ticket/57
【2020/10/4(日) 19:00まで】
◯論理家族
さまざまな制約の中で、家族全員が安全に川を渡るにはどうしたら?という論理思考ゲームのシチュエーションにおかれた家族の話。
「いや、そういうパズルの話かと思ったらほんまにあんたらが川渡るんかい!」って感じで、じわじわ面白かった。
よく考えたら「母がいないと父が娘を襲います」「父がいないと母が息子を襲います」「召し使いがいないと犬は家族を襲います」って全部意味がわからなくて面白いし、それに対して真面目に考察を試みるのも面白いし、答えが答えになってないのも面白い。
◯嘘つき
生き別れの親子の28年ぶりの再会……かと思いきや、「息子なら1か月前に帰ってきましたけど」と言われてしまい、どっちが本物の息子なんだ!?と討論するお話。
人狼に絡めて嘘をついている方を突き止めようとするんだけど、人狼ゲーム推しの男の子がマジで部外者すぎて
面白い。
あと、お母さん役の人の「?????」顔が本当に「?????」顔で、一目で「あっ、こいつ何もわかってない!」と伝わってきて観てるだけで面白かった。
微妙な表情の変化もコミカルで、ついついお母さんの顔を見てしまう。
途中の母親だと思って訪ねたら別人だった話が滅茶苦茶すぎて「これもしかして嘘か? 偽物か?」と思っていたら、そこがオチに繋がったのはびっくりした。
ていうか、よく考えたら、そもそも舞台上で演技をしている役者は全員「嘘つき」なのに、その話しぶりや振る舞いで「こいつは嘘をついている?」「こいつは本物っぽい?」とジャッジすること自体が矛盾していて面白いな…………。
◯五歳児
旦那がいない間に自宅で不倫相手と楽しもうとしていたら、そこに旦那が帰ってきちゃって!?なドタバタコメディ。
いや!さすがにどう見てもおっさんの不倫相手を「五歳のハルトが急に大きくなっちゃったの!」と誤魔化すのは無理があるやろ!!!!!!!めちゃめちゃすぎるわ!!!!!!!!!!!!!!
妻の言い分が支離滅裂すぎて腹がよじれるくらい笑った。
ようそんな言い訳思い付くな~~~~!!!!!!!
あと、これは本当に個人的な感想だけど、土肥希理子さんが不倫する妻役なのがちょっと今までのイメージからすると意外というか、彼女もこういう役をやる年齢になったんだな~と思ったりした。
学生劇団に所属していた10代の頃から知っている役者さんだし、少女の役をやっているイメージが強かったから、結婚して子供もいて不倫までしている大人の女性役に、少しドキドキした。
まあその数分後には支離滅裂な言い訳をもっともらしく捲し立てる面白お姉さんになってたわけだけど。
最後、旦那も浮気してたオチが綺麗で好き。
◯遺産
祖父の通夜の夜、遺産の取り分をオリジナル人生ゲームで決めることになった遺族たちの話。
最初に、冒頭の論理思考ゲームをやっていて「おっ」と思った。
空き缶に「父」「母」「娘」「息子」「召使」「犬」とか書かれたものを動かして、見事に対岸に渡らせる。
疑心暗鬼になりながら川を渡る方法について議論していた「彼ら」のことを、缶を動かしている人たちはきっと知らないと思うと、なんだか不思議な気持ちになった。
そして、そんな風に「ある家族」の運命に思いを巡らせていたのも束の間、こんどは「この家族」が思いもよらない運命に巻き込まれる。
21時に突然現れた顧問弁護士。
そして告げられる遺産争奪人生ゲームのルール。
全部のマスに誰かの秘密が書かれている人生ゲームってだけでもう面白い。
しかも、その秘密が少しずつ絡み合ってるのも面白い。
面白すぎてあっという間で、これだけで60分くらい観たい~~~~~~と思うくらいだった。
結局、人生ゲームの勝敗はどうなったんだろう。
最後はみんなの秘密が全部明るみに出て、家族がめちゃめちゃになってしまうんだろうか? それともむしろ絆が深まる?
血が繋がっているからといって、互いのすべてを知っているわけではなくて、隠していることもたくさんある。知られたくないことも、知らない方がよかったことも、たくさんある。
親子でも、兄弟でも、わからないことがたくさんある。
そんな、今までの話の根底に流れるもの全部が詰まったようなお話だった。
観終わって、これを書いているうちに、なんか「家族」って何だろうな~みたいな気持ちになった。
血が繋がっているとはいえ、他人。でも「他の人」にはわからない何かがある。
あと、必死な人を見るのは面白いなとも思った。
その論理がめちゃめちゃであればあるほど面白い。
そういえば、短編4本を同じ役者さんが違う役をやりながら演じてたのも面白かった。
前の役のイメージと全然違ったり、逆になんとなく似てたり…………この短い転換の間に別人になれるってすごいな~と思ったりした。
そういう意味でも、一公演でいろんな楽しみ方ができる作品だった!
気負わずに観れて満足感あったから、アーカイブ期間中にまた見返したいな。
終わります!